【名寄】
―名寄市立総合病院は、道北の中核病院です。名寄の今後と、全道への支援の広がりについてはどうですか。また、大学全体としての取り組みはいかがですか。
牧野教授 最終的に支援が必要な場所は、医師が少数の地域です。道北は、今後も中核病院である名寄市立病院を中心にリレー方式の支援が必要となるでしょう。具体的な地域名は挙げられませんが、今後は、釧路・根室地方などの道東方面も考えています。医師少数地域への支援を広く考えています。
西川学長 昨年度は、外科合同会議も設置されました。現在は、旭川市内の専門領域などを中心に課題(市内の病院で不足している外科領域の把握など)を洗い出しています。将来的に、一般外科の先生が不足している地域に派遣できるよう、外科医を育てながら実施していきたいと思っています。
藤谷教授 先ほども申し上げましたが、これまでは、各診療科で判断して医師派遣を行っていました。消化器内科でいえば、専門医が何人必要なのかが判断されていませんでした。私も地域の病院に勤務していましが、経験上、消化器内科の専門診療が必要な患者は2割程度で、残りの8割は一般内科の診療が主です。地域の病院に地域医療医(マルチタスク医)の先生が居れば、例えば、消化器内科は火曜日、循環器内科などは金曜日など、専門医が週に1回行けば、地域で高いレベルの医療を効率よく提供できます。
現状は、月曜から金曜までを消化器内科医で診療するなど、偏った専門性しか発揮できていない面があります。マルチタスク医と、複数領域の専門医が上手くかみ合っていくような構造を作っていきたい。そうなると、全部の講座(医局)が相乗りしていく必要があります。
牧野教授 大学病院の機能として、特定機能病院(厚生労働省から指定された最も高い医療を提供できる病院)の要件の中に、地域への医師派遣を病院として行うこと―などが盛り込まれました。そうなると、大学全体としてやっていかなければなりません。
医療職を目指す高校生へ「人を助けるやりがいのある仕事」
―最後に、医療分野を目指す高校生などにメッセージがあればお願いします。
藤谷教授 医師に限らず、医療職は不足している。非常にニーズもあり、人を助けるのは達成感のある仕事なので、頑張って目指してほしい。
牧野教授 地域枠で入学する学生は、自分の地域の医療を守りたいと思って入学する学生が多いです。入学時の志を大切にもち続けられるよう、大学は全力でサポートします。
西川学長 両先生が述べられた通り、医療職は人を助けるやりがいのある仕事。純粋な気持ちを持っている人は、ぜひ頑張ってほしい。
―名寄市立総合病院は、道北の地方・地域センター病院として、名寄市民のみならず、道北地方に暮らす住民の命と暮らしを守っています。和泉裕一名寄市病院事業管理者に、①市立病院の医師派遣の現状②旭川医大と連携した医師派遣、支援のあり方③名寄市立総合病院の使命と役割―などについて話を聴いた。
和泉管理者 ①2025年度に当院から地域の病院・診療所へ医師を派遣しているのは、中川町立診療所、士別市立病院など10医療機関に、当直を含めて延べ975人を派遣しています【表1】。
10年前と比べて医療機関数は2カ所減っていますが、延べ人員では1・8倍と、大きく増えています。当直が増えています。市立病院の医師が増えていない中での派遣増なので厳しい面もありますが、センター病院の役割として、地域医療ネットワーク全体の後方支援(医師派遣)だと思っています。
②市立病院単独でも医師派遣しておりますが、引き続き、旭川医大と協力して、道北の地域医療を支え、守っていきたいと考えています。
③名寄市立総合病院は、広大な北北海道の救急及び急性期医療を支える中核病院です。救命救急センター、災害拠点病院、周産期母子医療センターなどの指定を受け、精神科医療も担っています。小規模の自治体病院が散在する道北地方において、救急、急性期医療は、将来にわたって持続的に維持していかなければなりません。
ドクターヘリやドクターカーによる迅速な救急搬送体制を通じて、一刻を争う患者の直接的な救命と、その後の社会復帰やQOL(生活の質)の向上といった「予後の改善」にも大きく寄与しています。
地理的にも広範囲に及ぶ道北地域の高度医療、救急医療など、住民の皆様の「命の最後の砦」でとしての役割を、今後も果たしていきたいと考えています。
和泉病院事業管理者
旭川医科大学正門
上空から見る名寄市立総合病院
【表1】名寄市立総合病院からの医師派遣状況





