市内でゲストハウスモシリパを経営し、狩猟や作家として活動する武重謙さん(44)が、単独忍び猟記として「羆山渉猟(くまやましょうりょう)」を執筆し、17日に山と溪谷社から出版販売。商業出版としては2作目で、武重さんが狩猟で入山した際の行動や心境、クマや山に対する信念などに迫った内容。「メディアでは発砲など派手な狩猟のシーンがあるが、それが全てでは無い。単独忍び猟はひたすら山の中を歩く静かなもの。作品を通じて伝えていきたい」と語った。

狩猟のスタイル、考え方として武重さんが用いる単独忍び猟。静かな山中を歩く。その中で感じる変化からクマなどを追うためのヒントを得る。「例えば足跡を見つけるだけでも、いつのものかを考えたりする。追えば近くにいるかもしれない。静かで地味な行動だが、胸が熱くなりますね」と武重さん。

世間の狩猟のイメージではクマに向けて発砲するシーンなど派手な様子が先行してしまう。全てがそうではなく、山に入るということは静かなこと―。猟記の出版を通じて伝えたいという。武重さんは「狩猟の話になると二言目には駆除の話。自分は決してそうではなく、個人的な活動として猟をしている。狩猟の本来の目的は食べることだったはず。生き物の生死はセンシティブ。有害鳥獣の駆除という社会貢献の一方で、動物を追う静かな面白さを含めて伝えたい」と信念を貫く。

かつて神奈川県の箱根で民泊を経営し、周辺には野生のイノシシが多かった。父が鉄砲撃ちで主に鳥を追い、狩猟という存在が身近にあった。「自分も鉄砲を持てるだろう」。そんな思いから各種免許の取得へ手続き。2017年のシーズンから実際に猟に出向き、19年の北海道移住後はヒグマなどを狙い、山中を静かに歩く。

今回出版の2作目は北海道が舞台。20~25年シーズンまでの出来事を1冊にまとめ、335ページに及ぶ。前作では道具に関するノウハウを取り入れたが、今作ではコラムが無く、全て物語で構成。内容としては前作の2倍ほどあるという。執筆、校正を含め半年以上かけて書き上げた。

23歳の頃、趣味で小説を書いたことがきっかけ。狩猟に関する雑誌の「狩猟生活」で記事が掲載された経験も。武重さんは「今作は良いものを書きたいと自分なりに頑張った。1人でも多くの方に思いが伝われば」と期待する。

本の価格は2千90円で、全国の書店やインターネット通販サイト(アマゾン)で販売される。(梅津眞二)

武重さんが書いた「羆山渉猟」

武重さんが書いた「羆山渉猟」