【名寄】「令和8年熊本地震」JMAT派遣活動報告会が、10日午後5時15分から名寄市立総合病院(眞岸克明院長)で開かれた。被災地で支援活動に当たった同院医師の滝口僚也さん(救急科)、看護師の滝口ちあきさん(ICU病棟)、冬川薫さん(4階東病棟)、業務調整員として淡路周平さん(放射線科)、千葉康生さん(リハビリテーション科)の5人が、現地での活動状況などについて語った。

5人は同院の災害派遣医療チーム(DMAT)に所属。本来は発災直後の急性期に活動するが、今回は急性期を過ぎた亜急性期における支援活動を展開する日本医師会災害医療チーム(JMAT)の一員として、8月27日から31日まで被災地を訪問。同県宇城市を拠点に、地元医療機関での支援、避難所巡回での支援活動などを展開した。

報告会には同院のスタッフら約40人が参加。派遣チームリーダーの滝口さんが説明に当った。

滝口さんは、JMATの役割として、被災地の医療体制が自立するまでの「橋渡し」役を担い、被災地の医療を取り戻し、公衆衛生を確立することが目的であること。また、水や食料、資機材を自前で用意する自己完結型の活動であることを説明。

被災地の状況については、連日最高気温が37度を超える猛暑となり、被災者、支援者双方にとって過酷な環境だったこと。発災から1カ月後の支援活動で、現地の医療体制は訪問診療を含め確立されつつあり、活動の重点は治療よりも、被災者の在宅復帰支援に置かれていたことを報告した。

具体的な活動として、5日間で5カ所の避難所と1カ所の診療所を訪問して支援。このうち診療所では院長自身も骨折しながら診療を行っている状況で、一般内科外来、予約外来合わせて30人程度の診療を代行。「医療従事者も被災者であることを念頭に置き、彼らの心身の負担を軽減する支援も重要」とした。

現地での活動を振り返り、「主に日本赤十字社のチームと連携し、避難所に常駐する災害支援ナースから情報を得て活動した。直接避難者に声をかけることは極力避けた」と話す。

また、被災者への配慮として、「避難所はプライベート空間がなく、連日にわたる支援者からの声かけが被災者の精神的負担になっているという声を聞いた。あえて何もしないで見守ることが、適切な支援となる場合もあることを実感した」と振り返る。

支援活動における連携と課題としては、一部の専門家チームが避難所で独断の医療行為を行い、現場でトラブルになりかねない場面があったとし、「可能な限り、事前の情報収集や他チームとの連携の大切さをあらためて感じた」とした。

派遣メンバーからは「災害のフェーズに応じた関わり方の重要性を感じた。今どのような看護が必要なのかをつかむことは、災害時のみならず平時の看護でも大切なことだと思った」などと感想が語られた。

結びに、滝口さんは「留守中の業務をカバーし、送り出してくださった全職員に感謝している。現地で得た教訓を還元し、当院の災害医療体制の充実に努めていきたい」と述べた。

被災地での活動を報告した医療チームのメンバー

被災地での活動を報告した医療チームのメンバー